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今日読んだ記事 情けない国だね日本って

奄美大島で進むノネコ捕獲に、5つの大きな謎

 
 

奄美大島で進むノネコ捕獲に、5つの大きな謎

豊かな自然に恵まれ、アマミノクロウサギヤンバルクイナといった希少種が生息している奄美大島とその周辺の島は、世界自然遺産の候補地となっています。でもそんな美しい奄美大島で今、猫の大量捕獲計画が進んでいるのをご存じですか?
環境省は、野良猫が野生化した「ノネコ」がアマミノクロウサギなどの希少動物を捕食しているという理由で、2018年7月17日から「ノネコ管理計画」に基づいてノネコの捕獲を始めました。予定されている駆除数は1年間に約300頭、10年で3000頭。「希少動物も大切な命だから、守るためにはしかたないかも・・・」と思いそうですが、でもこの計画にはさまざまな疑問の声があがっているのです。
疑問1:クロウサギの個体数は増え続けているのに、なぜ?
アマミノクロウサギの生息個体数調査が行われた2003年から15年間、ノネコの駆除がほぼゼロ。にもかかわらず、アマミノクロウサギは増え続けています。であれば、「希少動物であるクロウサギを守るため」ノネコを捕獲する必要は全くないはずなのです。
疑問2:死因の大部分はノネコと関係ないのに、なぜ捕獲する必要があるの?
環境省の調査によると、2016年に断定できたアマミノクロウサギの死因は100%交通事故。同省が発表した2000年~2013年の死因調査でも、クロウサギの死因のうち、犬や猫に捕食されたと断定された割合は数%に過ぎません。また奄美大島では2005年からクロウサギを捕食するマングースの駆除を行ってきましたが、その結果、この10年ほどの間にクロウサギの数は急増しているのです(※環境省発表ノネコ管理計画より)。つまりクロウサギ絶滅の原因はノネコではなく、マングースにあったということ。これだけのデータがあるにもかかわらず性急に大量捕獲を進めたがっているのは、「世界自然遺産を口実に、ノネコの駆除をしたがっているのでは?」という疑いも湧いてきます…。
疑問3:なぜ譲渡のハードルが異常に高いの?
捕獲されたノネコは1週間以内に譲渡先が決まらなければ、殺処分されてしまいます。ノネコの命を守るため、徳之島、天売島などの地域でノネコを譲渡していますが、奄美大島では譲渡希望者は「納税証明書、所得証明書、家の見取り図、身分証明書」などの提出が義務付けられています。これは他の島と比べて、異常なまでにハードルが高い条件となっているのです。
疑問4:なぜ捕獲した猫の情報を公開しないの?
これまで捕獲された猫の中には、獣医による不妊手術済みの猫(さくらねこ)もいて、地域猫や飼い猫も山に迷い込んで捕獲されていることが明らかになりました。飼い猫が脱走して野良になり、ノネコになったとすれば、捕獲を機会に元の飼い主が見つけられる可能性もあります。また里親希望者にも、ノネコの情報が必要。なのになぜか、県迷子猫情報サイトでの公開は一切なし。そのことも、譲渡のハードルをさらに高くしている一因です。これでは、どう考えても、もともと殺処分が目的としか思えません。
疑問5:世界自然遺産登録のためには、かえってマイナスになるのでは?
世界自然遺産の登録を行うユネスコは「多様性の尊重」「非排他性」「人の心の中に平和のとりでを築く」を理念としています。これまでに約70000頭の無料不妊手術を行った公益財団法人「どうぶつ基金」は猫とアマミノクロウサギとの共生を図るため徳之島で、地元行政と共にTNR活動を行い、2年程度の間に島に棲むノラ猫、飼い猫、約3000頭のほとんどを一気に不妊手術。「このことはユネスコの理念に沿ったもので、世界遺産登録を後押ししたと確信しています」(どうぶつ基金)。
つまり「世界遺産登録のために猫を大量に殺処分する」ことは無意味なだけでなく、ユネスコの理念とも完全に逆行するのです。沖縄や奄美大島でノネコの大量殺処分が行われれば国際社会の反発を招き、登録申請が却下されかねません。そうすれば、地元自治体やどうぶつ基金などが進めてきた過去の努力が、完全に台無しになります。

この条件では、殺処分ゼロはほぼ不可能!?

これまでに捕獲されたノネコは東京のNPO法人ゴールゼロ、 沖縄のNPO法人ケルビムなどの必死の努力により、現在のところ殺処分ゼロが続いています。でも公益財団法人「どうぶつ基金」は「現在の条件下では殺処分ゼロの継続は極めて困難。一刻も早く改善していただかなければ」と、危機感を募らせています。そこで、どうぶつ基金と上記NPO法人らは2018年9月18日、奄美大島ねこ対策協議会(奄美市役所内)に改善を求める要請書を提出しました。内容は以下のとおりです。
1.譲渡希望者に義務付けられた提出書類が多い事により譲渡の機会を損失しています。鹿児島県動物愛護センターで実施している譲渡事業と同等にしてください。
2.飼い猫や地域猫、さくらねこが森に入りノネコとまちがって捕獲されています。飼い主が速やかに探すことができるように「鹿児島県迷子犬猫情報サイト」への掲載をしてください。
3、ノネコの駆除を行う前に、2003年を最後に15年間行われていない島全体のクロウサギの生息個体数の調査を行い、結果を公開してください。
4.平成25年度に環境省が行ったノネコの譲渡会と同様の情報公開及び譲渡会の開催をしてください。
協議会は、翌週に会合を開いて要請内容を検討し、10月5日までに回答したいとのこと。奄美大島のノネコ問題を、もし捕獲以外の方法で解決することができたら、人と猫が共生できる社会の、貴重な実例となって広がるに違いありません。この現状を、1人でも多くの方に知って欲しいと思います。

ノネコを守るために、私たちができることは?

1)署名
公益財団法人「どうぶつ基金」では、奄美の猫とアマミノクロウサギと、そして奄美の自然のためにも、署名と拡散の協力を求めています。目標は7万5000人で、9月27日現在で5万9000人弱。少しずつ増えてはいますが、まだ足りません。署名はChange.orgのサイト(こちら:https://www.change.org/p/世界遺産を口実に-奄美や沖縄の猫を安易に殺処分しないでください)から簡単にできます。
2)ボランティア
「あまみのさくらねこ病院」では、無料不妊手術活動を行うための捕獲や病院のお手伝い、事務、広報などのボランティアを募集しています。
問い合わせ先:https://goo.gl/92jAqp
3)寄付
公益財団法人「どうぶつ基金」は2018年8月15日、奄美大島に、殺処分ゼロを目指した無料不妊手術病院「あまみのさくらねこ病院」をオープンさせました。でも全国から殺到する無料不妊手術の依頼に資金が追い付いていない状況です。
取材協力/公益財団法人「どうぶつ基金
取材・文/桑原恵美子